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鳩山政権「空白の8カ月」…深刻な機能不全の象徴(産経新聞)

 8カ月あまりで政権を投げ出した鳩山由紀夫首相。「マニフェスト(政権公約)」や「政治主導」の号令のもと、あらゆる政策転換をぶち上げてきたが、シンボルだった八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の「中止宣言」は棚ざらしにされ、「体を張る」と大見えを切った拉致問題でも何もできずに退陣した。「空白の8カ月」。関係者が漏らすやるせない声が政権の陥った深刻な“機能不全”を象徴している。

 「コンクリートから人へ」をうたった鳩山政権が、無駄な公共事業の象徴として建設中止を打ち出した八ツ場ダム。前原誠司国土交通相が建設中止を明言したのは昨年9月17日だった。それから8カ月余り。建設継続を求める地元住民との話し合いは進まず、本体工事も凍結されたまま。

 20年間にわたり、ダム建設を前提にした街づくりを練り上げてきた地元は猛反発した。1月に実現した意見交換でも、建設中止を前提とした生活再建策の話し合いを促す国交相と、あくまでダム本体の建設を求める住民との協議は平行線に。次回の話し合い日程も全くめどが立っていない。

 いま、ダム建設予定地で進むのは、道路や橋などを整備する生活再建事業だ。このうち住民の移転先の代替地間を結ぶ「湖面1号橋」をめぐっては「ダム湖ができなければ不要」として凍結を検討しながら、「生活に欠かせない」との地元の声を受けて工事継続に転じるなど、政策の不安定さが浮き彫りになった。

 ダム建設予定地周辺の温泉旅館が並ぶ川原湯地区で飲食店を経営する男性は「こうしている間にも、休業する川原湯の旅館はどんどん増え、お客はますます減っていく。小手先の発言で地元を翻弄(ほんろう)する政府にはうんざりだ」と話す。

 もう一つの機能不全の象徴が拉致問題だ。「体を張って解決に努力する」と被害者家族との面会で語った鳩山首相は政権発足直後の昨年10月、新たな拉致問題対策本部を設置。だが、まったく動きはない。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(74)は「北朝鮮で待っている子供たちがいる。助け出せるかどうかの瀬戸際なのに…」と焦燥感をにじませる。年齢を重ね、一日も早い被害者の帰国を望む家族らにとって政権交代と鳩山首相の姿勢は進展をもたらすチャンスと映っていたからだ。

 情報収集力強化のために中井洽(ひろし)拉致問題担当相が構想した民間専門家3人の対策本部への起用も頓挫している。

 田口八重子さん=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(71)は「政権として一体となって『解決するぞ』という意志が感じられなかった」と語る。中井氏は「どこかで成果を挙げたいと考えていたのでつらい」とこの8カ月が結果として「空白」だったことを認めた。早紀江さんは「私たちが活動を始めてから首相が代わるのは9人目。家族はどんなに疲れていても代わるわけにはいかないんです」と機能不全に陥った政権を批判した。

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